医療ガス取扱の予備知識 Preliminary Knowledge

医療ガスを安全に使っていただくために、予備知識をまとめました。
不明点、ご質問があればお問い合わせください。

  • ガスについて
  • ボンベの取扱
  • 医療機関内での取扱
  • その他

医療機関内での取扱

圧力調整器の選び方(酸素ガスの場合)

圧力調整器は、高圧の酸素ガスを使用圧力に減圧する目的で使用します。
通常は一段減圧式圧力調整器を使用しますが、圧力変動をより少なくしたのが二段減圧式圧力調整器です。

圧力調整器には、入口側圧力計と出口側圧力計の、2つの圧力計がついているものと、入口側圧力計のみのタイプがあります。

入口側圧力計
:通常圧縮ガスは14.7MPa(150kg/cm2)35℃で充てんされ、この圧力を確認するために備わっています。
出口側圧力計
:圧力調整器の使用圧力範囲は、出口側圧力計の最大目盛りの60%、または2/3以下の範囲です。それを超えると使用禁止範囲(安全弁作動範囲)となります。従って、出口側圧力計の最大目盛りが、最大使用圧力の2~3倍の目盛りのものを選択してください。
  • 二段減圧式圧力調整器 メーター1個タイプ
  • 二段減圧式圧力調整器 メーター2個タイプ
  • *圧力調整器はガス一種類に対して1台を使用し、別のガスと共用することは原則禁止です。
  • *医療配管されている場合、供給源で使用圧力に減圧されているので、圧力調整器は不要です。
  • *医療用の容器用圧力調整器は、薬事法により医療用具としての規制を受けており、工業用のものを医療用として製造販売することはできません。

圧力調整器の接続(酸素ボンベから吸入する場合)

圧力調整器の接続(酸素ボンベから吸入する場合)

  • 01容器の口金部分は(a)バルブ(容器弁)と呼ばれている。調整器を付ける前に、少し空吹きを行い、バルブ口のごみを除去する。
  • 02(b)圧力調整器を専用スパナなどで取付ける。
  • 03(b-1)圧力計の前に絶対に顔を向けないようにして、(a)容器バルブを静かにゆっくりと一回転ほど開く。

    *急激に開けると、圧力調整器の焼損や圧力計の破壊事故などでケガをする恐れがあります。

  • 04(c)流量計を見ながら調整し、(d)加湿瓶を経由した酸素が患者様に吸入される。

*ガスの種類や用途によって、圧力調整器にも違いがあります。詳しい使い方は、購入時に付属している取扱説明書を確認してください。

圧力調整器の取扱注意事項(PDF)

A4一枚サイズのPDFファイルです。プリントアウトしてご利用いただけます。

交換 / 注文時期

圧縮ガス

圧力計のメーターを確認してください。
1次圧計(右側)のメーターが1MPaを切ったら、ガスの残量が少なくなっています。
1MPaから0.5MPaの間にボンベ交換を行うことをおすすめします。
*図は酸素用の圧力調整器です。

圧縮ガス

液体ガス

気液平衡状態のガス(炭酸ガス、亜酸化窒素ガスなど)

外気温によって若干圧力が変動します。
基本的にはメーターを見て残量確認しますが、あくまでも目安としてください。圧縮ガスほど正確ではありません。圧縮ガスと同様、圧力計のメーターが1MPaを切ったら、ガスの残量が少なくなっています。ボンベ内に液体が無くなると、圧力低下が早いので、完全に空になる前にご注文ください。
*図は亜酸化窒素用の圧力調整器です。

液体ガス

液体酸素(LGC)

容器本体中央部に液面計というフロート(浮き)があり、容器内部の液体酸素の液面が上下するのに合わせてフロートも一緒に上下するので、このフロートを見て中の残量を判断してください。フロートは時々引っかかることがあるので、圧力計も常に確認してください。

この範囲で
黄色のフロートが
上下します

液体窒素(ステンレス製容器)
最もわかりやすいのは、樹脂製の黒い専用物差しを容器に入れて確認する方法です。液に浸った部分だけ白くなるので液面が判定できます。慣れている方であれば、感覚的ではありますが、手で容器を持ち重量から残量を判定することができます。フタを開けて、白いガスが出てきたら残量あり、ガスが出なければ空、と判定する方法もあります。
液体窒素:LN凍結保存容器
生物、医学的細胞等の凍結保存を目的としている容器です。液体窒素を空にしないようにご注意ください。
残量が50~60%になったら補充が必要です。残量確認は、フタを開けて目測で行うか、専用物差しを使います。大型の保存容器の場合、残量警報を内蔵しているものもあります。
アセチレン
溶解アセチレン容器の場合、専用の圧力調整器で確認してください。圧力計が残り1MPaを切ると交換の時期です。