お助け犬マロくんの10問10答 Home Oxygen Therapy

在宅酸素療法の疑問を解決!

お助け犬マロくんの10問10答

きどころ商店の看板犬「マロ」くんが、在宅酸素療法の疑問にお答えします!

プロフィール
名前:城所マロ 性別:男 年齢:3歳(2011年1月現在)
性格:甘えん坊で食いしん坊。寂しがり屋なので、お客様がお帰りの際に、つい足にタックルしてしまうのが玉にキズ。
特記事項:彼女募集中!

問01
HOTとは?

HOT(ホット)とは、在宅酸素療法の通称です。英語でいうHome Oxygen Therapyの頭文字をとっています。在宅酸素療法とは、特定の症状を抱える患者様が、主治医の指示のもと、健康保険の適用を受けて、ご家庭で酸素吸入を行う治療法のことです。日常生活や社会活動を継続させることも可能であり、現在最も普及している在宅療法の一つです。

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問02
HOTで得られる良いことは?

HOTの効果として、次のことが期待できます。

  • ●生存率の向上:長生きができるという研究報告が、欧米及び日本で出ています。
  • ●日常生活動作(ADL)の改善:ADL(Activities of Daily Living)つまり食事・排泄・着脱衣・入浴・移動・寝起きなどが楽に行えるようになります。
  • ●入院回数の減少:HOT施行後、1回当たりの平均入院日数が半減するという調査報告があります。
  • ●生活の質(QOL)の向上:個人差はありますが、日常動作の苦しさの改善、熟眠感の向上、仕事への復帰や外出、旅行が可能になるなど、生き生きとした暮らしが可能になり、Quality of Life(QOL)が向上します。

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問03
どんな症状の場合に、HOTが受けられるの?

HOTには、対象疾患があります。

  1. (1)高度慢性呼吸不全例
  2. (2)肺高血圧症
  3. (3)慢性心不全
  4. (4)チアノーゼ型先天性心疾患

(1)(2)(3)については、下記の条件を満たしていると診断された場合に、HOTを適応します。

(1)高度慢性呼吸不全例
ただし、動脈血酸素分圧(PaO2)が55Torr(mmHg)以下の方、およびPaO2  60Torr(mmHg)以下で睡眠時または運動負荷時に著しい低酸素血症を来たす方であって、医師が在宅酸素療法を必要であると認めた方。適応患者の判定にパルスオキシメータによる酸素飽和度から推測しPaO2を用いることは差し支えありません。
(3)慢性心不全
医師の診断により、NYHAⅢ度以上であると認められ、睡眠時のチェーンストークス呼吸がみられ、無呼吸低呼吸指数(1時間当たりの無呼吸数および低呼吸数をいう)が20以上であることが睡眠ポリグラフィー上で確認されている症例の方。
(4)チアノーゼ型先天性心疾患
チアノーゼ型先天性心疾患に対する在宅酸素療法とは、ファロー四徴症、大血管転位症、三尖弁閉鎖症、総動脈幹症、単心室症などのチアノーゼ型先天性心疾患患者様のうち、発作的に低酸素または無酸素状態になる患者様について、発作時に在宅で行われる救命的な酸素吸入療法をいいます。

*2008年度版 厚生労働省告示より

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問04
HOTを開始するまでの流れは?

下記のように、必ず医師の診察を受け、適用の必要があると判断された場合に開始します。きどころ商店は酸素供給業者として、お客様の在宅酸素療法をお手伝いします。

(1)診断
医師が診察・評価してHOT適用を決定。病状、HOTの必要性及び効果について説明を受けます。
(2)機器の選定
ライフスタイルに合わせて酸素供給装置を選択。酸素供給業者と搬入の打ち合わせなどを行います。
(3)教育
患者様・ご家族は、機器の取扱、日常生活の指導、緊急時の対応等について説明を受けます。
(4)処方・トレーニング
病院内にて、酸素供給装置の取扱説明を受け、実際に使用してみます。酸素吸入量・時間などを処方します。
(5)機器の設置
患者様の退院前又は退院時に酸素供給業者がお伺いし、機器を設置します。取扱の説明もいたします。
(6)外来受診
月に1回以上、病状、日常生活、HOT機器の使用状況について必ず医師の診察を受けてください。
(受診しないと、保険の適用が受けられず、自己負担となる場合があります)

HOTを継続する限り、酸素ボンベ・液体酸素の供給が必要です。
携帯用酸素ボンベのガス、液体酸素の残量が残り少なくなったらお早めに注文してください。

ご注文のタイミング

  • ●携帯用酸素ボンベの場合:予備として、ご自宅に常時複数本あると安心です。
    必要本数をお届けします。
  • ●液体酸素装置の場合:親器についている残量計を確認して、空になる前に注文してください。残量計の見方は機器によって異なるので、説明書をよく読むか、酸素供給業者に説明を受けてください。

*各種機器は、病院からのレンタルとなります。

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問05
機器選びのポイントは?

ご自身のライフスタイルに適した機器を、医師と相談しながら選びます。
一般的な方法としては、自宅では親器を使い、外出時は子器を使います。親器には主として、酸素濃縮器と液体酸素装置の両方式があり、さらには酸素ボンベも使用できますので、処方により機器を選択します。

酸素供給装置の詳細については、下記をご覧ください。

仕事に復帰したい / 頻繁に外出したい
液体酸素装置(親器+子器)

  • メリット

    • ・電気を使わないので災害時の停電でも安心
    • ・清浄な酸素吸入が可能
    • ・子器が小型かつ軽量で携帯しやすい
    • ・酸素濃度がほぼ100%である
    • ・容器内は低圧なので、圧力に関わる事故が無く安全
  • デメリット

    • ・空になる前に満量の親器と交換する必要がある(業者が行う)
    • ・液体酸素は超低温なので、取扱に少し慣れが必要

自宅で過ごすことが多い
酸素濃縮装置+携帯用酸素ボンベ

  • メリット

    • ・操作が簡単である
    • ・メンテナンスに手間がかからない
    • ・酸素ボンベはガスが抜けない限り長期保存ができる
  • デメリット

    • ・電気代がかかる
    • ・停電時は使用できない
      (酸素ボンベを使用)
    • ・室内の空気を濃縮するので、多少の雑ガスが混じり、酸素100%ではない
    • ・ボンベ内の酸素ガスは高圧なので取扱に注意が必要

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問06
どのくらいお金がかかるの?

健康保険が適用されるので、自己負担分だけを病院にお支払いいただくことになります。ご利用になる酸素供給装置によって、若干費用の違いがあります。

2008年度診療報酬改正(平成22年4月現在)

液体酸素装置を使用する場合(自宅では親器、外出時は子器使用)
  1割負担 3割負担
在宅酸素療法指導管理料 2,500円 / 月 7,500円 / 月
設置型液体酸素装置 3,970円 / 月 11,910円 / 月
携帯用液体酸素装置 880円 / 月 2,640円 / 月
呼吸同調式デマンドバルブ 300円 / 月 900円 / 月
  計7,650円 / 月 計22,950円 / 月
酸素濃縮装置+携帯用酸素ボンベを使用する場合
  1割負担 3割負担
在宅酸素療法指導管理料 2,500円 / 月 7,500円 / 月
酸素濃縮装置 4,000円 / 月 12,000円 / 月
携帯用酸素ボンベ 880円 / 月 2,640円 / 月
呼吸同調式デマンドバルブ 300円 / 月 900円 / 月
  計7,680円 / 月 計23,040円 / 月

*酸素濃縮装置には別途電気代が必要です。

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問07
日常の暮らしはどうなるの?

療養日記などをつけ、患者様自身が自らの体調と向き合い、自己管理できるようになるのが理想です。療養日記は患者様自身の治療への意識を高め、体調の変化を認識する手助けにもなるでしょう。

また、安心・安全なHOTの継続のために、1日1回以上、次の点検を行ってください。

日常点検チェックリスト
  • 装置本体とその周辺の様子に変化はないか
  • 圧力計、残量計を確認し、酸素の残量は十分か
  • 部屋の換気はなされているか
  • ガス漏れはないか
  • 消火器や工具は揃っているか
  • 緊急時の連絡先はわかっているか

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問08
取扱上の注意点はありますか?

HOTを始めるにあたり、室内環境を整え、注意事項をお守りください。
酸素は支燃性のため、火の取扱には厳重な注意が必要です。
患者様だけでなく、ご家族のご理解とご協力も欠かせません。

液体酸素装置の場合

  • ・室内の換気が大切です。
  • ・日当りのよい場所、暖房器具の近くは避け、常に40℃以下に保ってください。
  • ・火を使うところから2m以上離して設置してください。
  • ・液体酸素装置の近くには消火器を用意してください。
  • ・親器から子器への充てんは、一人では行わないでください。
  • ・液体酸素をこぼさないようにご注意ください。

酸素濃縮装置の場合

  • ・日当りのよい場所は避けて設置してください。
  • ・火を使うところから2m以上離してください。
  • ・壁などから前後左右15cm離して設置してください。

吸入時の注意

吸入の際は、火気から2m以上離してください(例:ガスコンロ、タバコ、ろうそくなど)。特に、タバコは絶対に吸わないでください。患者様だけでなく、その場にいる人も厳禁です。

タバコ等、火気の取扱が原因と考えられる事故が後を絶ちません。厚生労働省より、在宅酸素療法における火気の取扱に関する注意喚起がなされています。

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問09
旅行は行けますか?

主治医の承諾書が必要ですが、一部海外を含め旅行は可能です。
宿泊する場合、酸素供給装置を宿泊施設に設置することになるので、約2週間前の手続きが必要になります。
公共の交通機関をご利用の場合は、禁煙車・禁煙席をご利用ください。
飛行機の搭乗については、旅行会社又は航空会社にお問い合わせください。
航空会社によって、酸素ボンベの持ち込みが許可されている場合とされていない場合があります。事前に確認のうえ、前もって申請する必要があります。液体酸素を機内に持ち込むことはできません。まずは医師とよくご相談ください。

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問10
緊急時の対応は?

ガス漏れなど緊急時は、供給業者及び医療機関に連絡してください。
液体酸素装置をご利用の場合、まず次の応急措置を行ってください。

●ガスが漏れた時
窓やドアを開けて室内の換気に努めてください。子器であれば屋外に出してください。
●チューブ等に着火した時
カニューラを外し、装置のバルブを閉じて消火に努めてください。
●自宅付近が火災の時
酸素吸入を子器に切り替えて、避難の準備をしてください。親器のバルブは閉じてください。自宅まで延焼の危険がある場合は、消防関係者に自宅に液体酸素装置があることを伝えてください。
●バルブ等が凍結した時
詰め替え後に親器と子器の接続部が凍結している時は、お湯をかけたり無理な力を加えず、自然に溶けるまで待ってください。
●酸素ガスの出が悪くなった時
装置のバルブの開き具合、流量計と圧力計、加湿器ボトルのゆるみ、チューブの折れ曲がり具合などを調べてください。

原則として、機器の調子が悪い場合、機器の設置場所を移動させたい時などは供給業者に連絡してください。体調が悪い場合は病院に連絡してください。

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